第一部−2− 宇宙の科学
第4章 惑星
1.惑星(2) 惑星各論−3−
c.火星(Mars)
火星は太陽からは4番目の惑星である。その軌道の平均半径は1.5237AUであるが、軌道の離心率が0.0934と比較的大きく(めい王星の0.2490、水星の0.2056に次ぐ)、太陽にもっとも近づくとき(近日点距離1.3814AU)と、もっとも遠ざかるとき(遠日点距離1.6660AU)の差が大きい。地球の軌道も離心率0.0167のだ円であるので、衝のときに接近するとしても、その距離はときによってかなり異なり、上の値を使えば0.507AU〜0.6827AUとかなりの差が生ずる。火星との会合周期は779日(約2年)であるが、大接近は15年、あるいは17年くらいの周期で訪れる。次回の大接近は2018年である。
火星は1.0260日(24時間38分)の周期で自転していて(対恒星自転周期)、自転軸の傾き(公転面に垂直な向きに対する傾き)も地球の23.44°に近い25.19°である。だから、火星には地球と同じような季節の変化がある。ただし、公転周期が1.88年であるので、それぞれの季節が地球より長く続くことになる。
火星の赤道半径は3396kmであり地球の半分程度、質量は1/10程度である。密度は地球の5.52×103kg・m-3に対して、3.93×103kg・m-3でしかない。これは、金属でできている核の相対的な大きさが、地球より小さいためだろう。表面重力は地球の0.38倍であり、表面からの脱出速度は5.02km・s-1(地球は11.18km・s-1)である。この表面重力では、火星の位置でも大気をつなぎ止めておくためには十分でなかったと考えれる。
実際、火星表面での大気圧は5.6hPa(「比較惑星学」岩波地球惑星科学講座12、1997年、以下大気成分も同じ)でしかない。この値は地球の1/200程度、地球でいうと35km上空の気圧ということになる。大気の主成分は二酸化炭素(95.32%)。ほかのちっ素(2.7%)、ネオン(2.5%)、アルゴン(1.6%)が続く。二酸化炭素はあるが、大気そのものが薄いので温室効果は弱い(温室効果がない場合と比べて6℃上げるだけ)。そのため表面温度は低く-63℃でしかない。ただし、赤道直下の正午近くには25℃程度まで上昇することもある。逆に冬の極地方では-120℃まで下がることもある。
火星が赤く見えるのは、表面が赤い砂におおわれているためである。これは酸化鉄の色で、昔、大気に酸素があったのかもしれないが、このような形で地表に固定されてしまっている。火星全体は大きくいうと、赤い砂におおわれた砂漠であるといえる。
!doctype>