2012年3月30日金曜日

不斉付加反応、特に水素化における遷移金属触媒に使用されるキラルリガンド|詳細 - Astamuse(アスタミューゼ)


以下の情報は、出願公開日時点(2009年10月29日)のものです。

0001

本発明は、少なくとも2個のキラル中心を有し、かつ、(a)キラル芳香族若しくは複素環式芳香族アトロプ異性体であるか、又は(b)非キラル若しくはキラル面性異性体メタロセンである主鎖を有し、それぞれの場合において1個のPR基及び1個のP−キラル−P(O)HR基が結合しているリガンド(ここで、非キラルメタロセンが主鎖である場合、−P(O)HR基のR基は、少なくとも1個のキラル中心を含有する);その製造方法;これらの二座リガンドと遷移金属との金属錯体;並びに少なくとも1個の炭素/炭素又は炭素/ヘテロ原子二重結合を含有するプロキラルな有機化合物の水素による不斉合成、特に水素化における金属錯体の使用に関する。

0002

キラルリガンドとの金属錯体は、不斉合成において価値のある触媒であることが見出されている。実用的であるのは、充分な触媒活性だけでなく高い立体選択性も達成することができる金属錯体のものである。これら2つの特性がないと、経済的な理由によって産業的方法への規模拡大はされない。

0003

現在まで、どのようなリガンドとのどのような金属錯体がどのような反応条件下で、どのような不飽和基質のために、触媒活性及び立体選択性に関して実用的に利用可能な水素化の結果を生じるかを予測することは、依然として可能ではない。多数の異なる二座配位リガンドが、そのために、提供されており、その多くは酸素、硫黄、窒素及び/又はリン原子とのキレート化基を含有することができる(例えば、W. Teng, X. Zhang, Chem. Rev. 2003, 103, 3029-3069を参照すること)。これらの二座リガンドのうち、PΛN及びPΛPリガンドが有用であり、とくにキレート基が、アトロプ異性(ビスアレーン及びビスヘテロアレーン)又は面性異性(メタロセン)を有する芳香族化合物と結合している場合に有用であることが頻繁に見出されている。

0004

近年、式Aの単座ホスフィンオキシドベンゼン及び式Bの二座リガンドが記載されている〔Xiaobin Jiang with Prof. J. G. de Vries and Prof. B. L. Feringa, University of Groningen 29 Nov. 2004 (ISBN: 90-367-2144X); Xiaobin Jiang et al., Org. Lett., 5 (2003) 1503-6; and Xiaobin Jiang et al., Tetrahedron: Asymmetry, 15 (2004) 2223-9の論文を参照すること〕。

0005

化学式1

0006

これらのリガンドの製造は複雑である。合成は、一般にラセミ化合物を生じ、これは続いて、キラルカラムによる分取高圧クロマトグラフィーの助けによって、それらの鏡像異性体に分離される。この方法は、大規模の生産には非常に高価であり、不適切である。あるいは、幾つかの場合において、鏡像異性体は、選択的結晶化によりキラル補助試薬を用いて付加物として分離されている。しかし、この経路はあまりにも頻繁に不成功に終わっている。一般に、鏡像異性体のうちの一方しか実際的適用では必要とされないので、常に所望のリガンドの少なくとも半分はこれらの方法において失われている。

0007

式Aのリガンドは、プロキラルなイミン及びアルケンの不斉水素化におけるIr及びRh錯体に使用されており、良好な立体選択性であるものの、低い触媒活性〔ターンオーバー頻度(TOF)<3h−1〕が観察される。式Bのリガンドも、プロキラルなイミン及びアルケンの不斉水素化におけるIr及びRh錯体に同様に使用されているが、低い立体選択性及び非常に低い触媒活性(TOF<1h−1)が観察されている。

0008

簡単な方法で製造することができ、不斉触媒における金属錯体のリガンドとしても適している、主鎖に結合している第二級ホルフィン及びホスフィンオキシド基を有する更なるリガンドに対する大きな需要が存在する。

0009

予期しないことに、現在、主鎖に結合している第二級−P(O)HR基を有する及び場合により炭素原子を介して主鎖に結合している−PR基を有する光学的に純粋な異性体の製造は、主鎖が軸性キラリティーを有する芳香族化合物であるか、又はリガンドが少なくとも1つのキラルメタロセンを含有する場合に、特に簡単な方法によって成功することが見出されている。更なる光学中心並びにキラルな第二級ホスフィンオキシド基の存在が、二座リガンドの合成において、多くの場合に優れたジアステレオ選択性をもたらし、加えて、結晶化による又は非キラルカラムの分取クロマトグラフィーによる立体異性体の簡単な精製又は分離を可能にする。

0010

また、予期しないことに、これらのリガンドは触媒特性に予想外に大きな影響を与え、金属錯体における既知のリガンドBと比較して、予期し得ないほど触媒として高い触媒活性で頻繁に特徴付けられ、プロキラルな基質に依存して、非常に良好な立体選択性から非常に高い立体選択性までを達成できることが見出されている。

0011

本発明は、最初に、少なくとも2個のキラル中心を有する、ジアステレオマー又は純粋なジアステレオマーの混合物の形態での、式I:

0012

化学式2

0013

〔式中、
第二級ホスフィンは、置換基として炭化水素基又はヘテロ炭化水素基を有する第二級ホスフィン基であり;
Qは、ビスアリール又はビスへテロアリール架橋結合に対して2個のリン原子がオルト位に結合している、軸性キラル中心を有する二価ビスアリール又はビスへテロアリール基であるか、或いはQは、第二級ホスフィンのリン酸原子がシクロペンタジエニル環に直接又はC〜C炭素結合を介して結合している、面性キラル中心を有するか又は面性キラル中心を有さない二価フェロセニル基であり、
−P(=O)HR基は、同じシクロペンタジエニル環でそこに結合した第二級ホスフィンに対してオルト位に結合しているか又は他のシクロペンタジエニル環に結合しており、
は、キラルなリン原子であり、そして
は、炭化水素基、ヘテロ炭化水素基又はフェロセニル基であり、ここで、Qが面性キラル中心を有さないフェロセニル基の場合、Rは面性キラル中心を有するフェロセニル基である〕
で示される化合物を提供する。

0014

本発明の文脈において、「キラル中心」は、面性キラル中心、軸性キラル中心、又は原子中心キラル中心であることができ、この場合、原子は好ましくはC又はPである。

0015

式Iの化合物は、通常2〜5つ、好ましくは2〜4つ、より好ましくは2又は3個のキラル中心を有する。

0016

式Iの化合物は、例えば、芳香族基の置換基において、フェロセンのシクロペンタジエニルの置換基において、又はC〜C炭素鎖において、更なるキラル中心として少なくとも1個の不斉炭素原子を含有することができる。

0017

説明において、式Iの化合物は、−P(=O)HR基がヒドロキシル形態−P(OH)Rで表される互変異性型も含むことに留意すること。2つの互変異性型において、リン原子は、不斉及びキラルである。

0018

架橋基Qは、非置換であることができるか、又はハロゲンのような、若しくは炭素原子、酸素原子、硫黄原子若しくはケイ素原子を介して結合している炭化水素基のような置換基Rにより、例えば1〜6回、好ましくは1〜4回、より好ましくは1回から2回置換されていることができ、ここで置換基Rの炭化水素基は置換されていることができる。架橋基Qが、ビスアリール又はビスへテロアリール基である場合、環結合置換基、例えば、アルケン、アルケニレン、アルキジエニレン、アルキレンジアミノ又はアルキレンジオキシを提供することもできる。少なくとも2個の置換基がQ基に結合している場合、これらは同一又は異なっていることができる。

0019

場合により置換されている置換基Rは、例えば、C〜C12アルキル、好ましくはC〜Cアルキル、より好ましくはC〜Cアルキルであることができる。例は、メチル、エチル、n−又はi−プロピル、n−、i−又はt−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ウンデシル及びドデシルである。

0020

場合により置換されている置換基Rは、例えば、C〜Cシクロアルキル、好ましくはC〜Cシクロアルキルであることができる。例は、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロオクチルである。

0021

場合により置換されている置換基Rは、例えば、C〜Cシクロアルキルアリキル、好ましくはC〜Cシクロアルキルアルキルであることができる。例は、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル又は−エチル、及びシクロオクチルメチルである。

0022

場合により置換されている置換基Rは、例えば、C〜C18アリール、好ましくはC〜C10アリールであることができる。例は、フェニル又はナフチルである。

0023

場合により置換されている置換基Rxは、例えば、C〜C12アラルキル(例えば、ベンジル又は1−フェニルエタ−2−イル)である。

0024

場合により置換されている置換基Rは、例えば、トリ(C〜Cアルキル)Si又はトリフェニルシリルであることができる。トリアルキルシリルの例は、トリメチル−、トリエチル−、トリ−n−プロピル−、トリ−n−ブチル−及びジメチル−t−ブチルシリルである。

0025

置換基Rは、例えば、ハロゲンである。例は、F、Cl及びBrである。

0026

場合により置換されている置換基Rは、例えば、式:−OR05、−SR05、−S(O)R05及び−S(O)05のアルコキシ基、チオ基、スルホキシド又はスルホン基であることができ、式中、R05は、C〜C12アルキル、好ましくはC〜Cアルキル、より好ましくはC〜Cアルキル;C〜Cシクロアルキル、好ましくはC〜Cシクロアルキル;C〜C18アリール、好ましくはC〜C10アリール;又はC〜C12アラルキルである。これらの炭化水素基の例は、置換基について上記に既に記述されている 。

0027

置換基Rは、例えば、−CH(O)、−C(O)−C〜Cアルキル又は−C(O)−C〜C10アリールであることができる。

0028

場合により置換されている置換基Rは、例えば、−CO03又は−C(O)−NR0102基であることができ、ここで、R01、R02及びR03は、それぞれ独立して、C〜C12アルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cシクロアルキルメチル若しくは−エチル、非置換又はC〜Cアルキル−若しくはC〜Cアルコキシ置換のC〜C10アリール若しくはC〜C12アラルキルであるか、或いはR01及びR02は、合わさって、トリメチル、テトラメチレン、3−オキサ−1,5−ペンチレン又は3−� ��C〜Cアルキル)アミノ−1,5−ペンチレンである。R01、R02及びR03は、アルキルとして、直鎖又は分岐鎖であることができ、アルキルは、好ましくは1〜8個、より好ましくは1〜4個の炭素原子を含有する。R01、R02及びR03は、アリールとして、例えば、フェニル又はナフチルであることができ、アラルキルとして、ベンジル又はフェニルエチルであることができる。R01、R02及びR03の幾つかの例は、メチル、エチル、n−又はi−プロピル、n−、i−又はt−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、フェニル、ベンジル、メチルフェニル、メチ� ��ベンジル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル及びメトキシベンジルである。

0029

場合により置換されている置換基Rは、例えば、−S(O)−O−R03、−S(O)−O−R03、−S(O)−NR0102及び−S(O)−NR0102基であることができ、ここでR01、R02及びR03は、それぞれ、選択肢を含めて上記で定義されたとおりである。

0030

Qが、単環式芳香族化合物を有するビスアリール又はビスへテロアリールの二価基である場合、好ましくは、2つの単環式芳香族化合物を結合する結合(架橋結合)に対して他のオルト位の一方又は両方は、回転を防ぐために置換されている。この場合、好ましい置換基は、C〜C12アルキル、好ましくはC〜Cアルキル、より好ましくはC〜Cアルキル;C〜Cシクロアルキル、好ましくはC〜Cシクロアルキル;C〜C18アリール、好ましくはC〜C10アリール;又はC〜C12アラルキル;C〜C12アルコキシ、好ましくはC〜C8アルコキシ、より好ましくはC〜Cアルコキシ;C〜Cシクロアルコキシ、好ましくはC〜Cシクロアルコキシ;C〜C18アリールオキシ、好ましくはC〜C10アリールオキシ;又はC〜C12アラルキルオキシ;C〜C12アルキルチオ、好ましくはC〜Cアルキルチオ、より好ましくはC〜Cアルキルチオ;C〜Cシクロアルキルチオ、好ましくはC〜Cシクロアルキルチオ;C〜C18アリールチオール、好ましくはC〜C10アリールチオ;又はC〜C� �2アラルキルチオ、及びトリ−C〜Cアルキルシリルである。

0031

Qが、単環式芳香族化合物を有するビスアリール又はビスへテロアリールの二価基である場合、二価置換基は、ビスアリールの場合、2個の隣接炭素原子に、特に5,6及び/若しくは5′,6′位(縮合環)又は6,6′位で結合していることも可能である。二価置換基は、ω,ω′−C−から−C−アルキレン、−C−から−C−アルキレン−O−、−C−から−C−アルキレン−N(C〜Cアルキル)−、−O−(C−から−C−アルキレン)−O−、−(C〜Cアルキル)N(C−から−C−アルキレン)−N(C〜Cアルキル)−、−O−(C−から−� �−アルキレン)−N(C〜Cアルキル)−、−CH−CH=CH−、−O−CH=CH−、−S−CH=CH−、−N(C〜Cアルキル)−CH=CH−、−CH=CH−CH=CH−、−CH=CH−CH=N−、−CH=CH−N=CH−、−CH=N−CH=CH−、−N=CH−CH=CH−、−CH=N−CH=N−、−N=CH−CH=N−及び−CH=N−N=CH−であることができる。

0032

置換基Rの炭化水素基は、例えば、一置換又は多置換、例えば、ハロゲン(F、Cl若しくはBr、特にF)、−OH、−SH、−CH(O)、−CN、−NR00102、−C(O)−O−R003、−S(O)−O−R003、−S(O)−O−R003、−P(OR03、−P(O)(OR003、−C(O)−NR001002、−S(O)−NR00102、−S(O)−NR001002、−O−(O)C−R004、−R001N−(O)C−R004、−R001N−S(O)−R004、−R001� ��−S(O)−R004、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cシクロアルキル、フェニル、ベンジル、フェノキシ又はベンジルオキシにより、一置換から三置換、好ましくは一置換又は二置換されていることができ、ここで、R001及びR002は、それぞれ独立して、水素、C〜Cアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジルであるか、或いはR001及びR002は、合わさって、テトラメチレン、ペンタメチレン又は3−オキサペンタン−1,5−ジイルであり、R003は、水素、C〜Cアル キル、C〜Cシクロアルキル、フェニル又はベンジルであり、そしてR004は、C〜C18アルキル、好ましくはC〜C12アルキル、C〜Cハロアルキル、C〜Cヒドロキシアルキル、C〜Cシクロアルキル(例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル)、C〜C10アリール(例えば、フェニル若しくはナフチル)又はC〜C12アラルキル(例えば、ベンジル)である。

0033

式Iの二価Q基は、2つの炭化水素芳香族化合物、2つの複素環式芳香族化合物又は1つの炭化水素芳香族化合物及び1つの複素環式芳香族化合物が互いに結合している基であることができる。5員芳香族複素環を有する縮合複素環式芳香族化合物において、芳香族複素環、好ましくは炭化水素環が結合していることができる。炭化水素芳香族化合物の例は、特に、ベンゼン、インデン及びナフタレンである。複素環式芳香族化合物及び縮合複素環式芳香族化合物の例は、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、N−(C〜Cアルキル)ピロール、N(C〜Cアルキル)インドール、ピリジン、キノリン及びイソキノリンである。

0034

ビスアリーレン又はヘテロアリーレンの好ましい二価Q基は、式II及びIIa:

0035

化学式3

0036

〔式中、1つの又は両方のRzは、置換基であるか又は縮合環の一部であり、環は、それらに結合している炭素原子と合わさって、非置換であるか又は一置換若しくは多置換されている、場合により縮合している5員又は6員の芳香族環又は芳香族複素環を形成する〕
で示されるものである。

0037

本発明の好ましい実施態様において、式Iの二価Q基は、ビスアリール又はビスへテロアリールとして、式III、IV、V又はVI:

0038

化学式4


ベンゼンはどのように作られるのですか?

0039

〔式中、
は、O、S又はN(C〜Cアルキル)であり;
、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルチオ、C〜Cヒドロキシアルキル、C〜Cヒドロキシアルコキシ、C〜Cアルコキシ−C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ−C〜Cアルコキシ、C〜C10アリール、C〜C12アラルキル、−OCF又は−CFであり、ここで少なくとも1つのRは、置換基であるか、或いは
及びRは、合わさって、トリメチレン、テトラメチレン、−CH−CH=CH−、−CH=CH−CH=CH−、−O−CH=CH−、−S−CH=CH−、−N(C〜Cアルキル)−CH=CH−、−O−CH−O−、−O−CF−O−、−O−CH−CH−O−、−N(C〜Cアルキル)−CH−CH−O−であるか、或いはRの基は、合わさって、C〜Cアルキレン又は−O−(C〜Cアルキレン)−O−である〕に対応する。式III、IV、V及びVIの二価基において、更なる水素原子が、例えば、R、R、R� �及びRで定義された基により置換されていてもよい。

0040

芳香族及び芳香族複素環は、上記で定義された更なる置換基を含有することができる。

0041

好ましいサブグループは、Rが、C〜Cアルキル(例えば、メチル、エチル、n−及びi−プロピル、n−、i−及びt−ブチル)、C〜Cアルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、n−及びi−プロポキシ、ブトキシ)、C〜Cヒドロキシアルキル(例えば、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル)、C〜Cヒドロキシアルコキシ(例えば、ヒドロキシエチルオキシ、ヒドロキシプロピルオキシ)、C〜Cアルコキシ−C〜Cアルキル(例えば、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチル、エトキシエチル)、C〜Cアルコキシ−C〜Cアルコキシ( 例えば、メトキシメトキシ、メトキシエトキシ、エトキシメトキシ)、トリフルオロメチル又はトリメチルシリルであり;R及びRが、合わさって、トリメチレン、テトラメチレン、−CH−CH=CH−、−CH=CH−CH=CH−、−O−CH−O−、−O−CF−O−、−O−CH−CH−O−、−N(C〜Cアルキル)−CH−CH−O−又はベンゼン−1,2−ジオキシであるか、或いはR基が、合わさって、C〜Cアルキレン、−O−(C〜Cアルキレン)−O−又は−O−CF−O−である、式IIIの化合物のものである。

0042

本発明の別の実施態様において、式Iの二価Q基は、面性キラル中心を有するフェロセニル基として、式VII、VIII及びIX:

0043

化学式5

0044

で示される基、又は式XX:

0045

化学式6

0046

で示される面性キラル中心を有さないフェロセニル基に対応し、
式中、
は、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、フェニル、ベンジル又はメチルベンジルであり;
10は、ビニル、メチル、エチル、金属化試薬の金属をオルト位へ向かわせるCに結合したキラル基であるか、又はR10は、−CH−NR1112基であり;
は、好ましくは、C〜Cアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル又はメチルベンジルであるか;或いは
11又はR12は、それぞれ独立して、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜C10アリール、C〜C12アラルキル、C〜C12アルカリル若しくはC〜C12アルカラルキルであるか、又はR11は又はR12は、合わさって、テトラメチレン、ペンタメチレン若しくは3−オキサペンタン−1,5−ジイルである。

0047

は、より好ましくはメチル、エチル又はフェニルである。

0048

11及びR12は、好ましくは同一の基である。R11及びR12は、好ましくは、それぞれ、C〜Cアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、メチルフェニル、メチルベンジル又はベンジルであるか、或いはR11及びR12は、合わさって、好ましくはテトラメチレン又は3−オキサペンタン−1,5−ジイルである。より好ましくは、R11及びR12は、それぞれメチル又はエチルである。

0049

オルト指向性キラルR10基において、キラル原子は、好ましくは、シクロペンタジエニル−R10結合に対して1、2又は3位に結合している。R10基は、開鎖状基又は環状基であることができ、ここで原子は、H、C、O、S及びNからなる群より選択される。

0050

10基は、式:−HC1415は不斉原子を示す)に対応することができ、式中、R14は、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル(シクロヘキシル)、C〜C10アリール(フェニル)、C〜C12アラルキル(ベンジル)又はC〜C12アルカラルキル(メチルベンジル)であり、R15は、−OR16又は−NR1112であり、R16は、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、フェニル又はベンジルであり、そしてR11及びR12は、同一又は異なっており、そ� ��ぞれ、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、フェニル又はベンジルであるか、或いはR11及びR12は、窒素原子と合わさって、5員〜8員環を形成する。R14は、好ましくはC〜Cアルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル又はフェニルである。R16は、好ましくはC〜Cアルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル及びn−又はi−ブチルである。R11及びR12は、好ましくは同一の基であり、それぞれ好ましくは、C〜Cアルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル及びn−又はi−ブチルであり、合わさって、テトラメチレン、ペ ンタメチレン又は3−オキサ−1,5−ペンチレンである。式:−HCR1415の特に好ましい基は、1−メトキシエタ−1−イル、1−ジメチルアミノエタ−1−イル及び1−(ジメチルアミノ)−1−フェニルメチルである。

0051

10が、キラルα炭素原子を有さない基である場合、これは炭素原子を介して、直接又は架橋基を介するのいずれかによりシクロペンタジエニル環に結合している。架橋基は、例えば、メチレン、エチレン又はイミン基であることができる。架橋基に結合している環状基は、好ましくは飽和しており、より好ましくは、合計5又は6個の環原子を有する、C〜Cアルキル−、(C〜Cアルキル)NCH−、(C〜Cアルキル)NCHCH−、C〜Cアルコキシメチル−又はC〜Cアルコキシエチル置換のN−、O−又はNO−ヘテロシクロアルキルである。開鎖状基は、好ま しくは、CH基を介してシクロペンタジエニル環に結合しており、この基は、好ましくは、アミノ酸又はエフェドリンから誘導される。幾つかの好ましい例は、下記:

0052

化学式7

0053

であり、ここでR17は、C〜Cアルキル、(C〜Cアルキル)NCH−、(C〜Cアルキル)NCHCH−、C〜Cアルコキシメチル又はC〜Cアルコキシエチルである。より好ましくは、R17は、メトキシメチル又はジメチルアミノメチルである。

0055

化学式8

0056

で示される基は、置換という簡単な方法によって好ましい−CH−NR1112基に変換することができる。

0057

好ましい実施態様において、R10は、−CH−NR1112、−CHR−NR1112、ビニル、メチル又はエチルであり、ここで、Rは、メチル、エチル又はフェニルであり、そしてR11及びR12は、それぞれメチル又はエチルである。

0058

第二級ホスフィン基は、2つの同一又は異なる炭化水素基又はヘテロ炭化水素基を含有することができる。第二級ホスフィン基は、好ましくは2つの同一の炭化水素基又はヘテロ炭化水素基を含有する。

0059

第二級ホスフィン基における炭化水素基及びヘテロ炭化水素基は、非置換であるか若しくは置換されていることができ、及び/又はO、S、−N=又はN(C〜Cアルキル)から選択されるヘテロ原子を含有することができる。これらは、1〜30個、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜12個の炭素原子を含有することができる。炭化水素基は、直鎖又は分岐鎖C〜C18アルキル;非置換又はC〜Cアルキル−若しくはC〜Cアルコキシ置換のC〜C12シクロアルキル又はC〜C12シクロアルキル−CH−;フェニル、ナフチル、フリル若しくはベンジル;又はハロゲン−、C〜C6アルキル−、トリフルオロメチル−、C〜Cアルコキシ−、トリフルオロメトキシ−、(CSi、(C〜C12アルキル)Si若しくは第二級アミノ置換のフェニル、ナフチル、フリル若しくはベンジルの群から選択されることができる。

0060

好ましくは1〜6個の炭素原子を含有する、アルキルとしてのP置換基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、並びにペンチル及びヘキシルの異性体である。場合によりアルキル置換されているシクロアルキルとしてのP置換基の例は、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチル−及びエチルシクロヘキシル、並びにジメチルシクロヘキシルである。アルキル−及びアルコキシ置換のフェニル及びベンジルとしてのP置換基の例は、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、メチルベンジル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、トリメトキシフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ビス(トリフルオロメチル)フェニル、トリス(トリフ� ��オロメチル)フェニル、トリフルオロメトキシフェニル、ビス(トリフルオロメトキシ)フェニル、フルオロ−及びクロロフェニル、並びに3,5−ジメチル−4−メトキシフェニルである。

0061

好ましい第二級ホスフィン基は、C〜Cアルキル、非置換シクロペンチル若しくはシクロヘキシル、又は1〜3個のC〜Cアルキル若しくはC〜Cアルコキシで置換されているシクロペンチル若しくはシクロヘキシル、非置換若しくは1〜3個のC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cフルオロアルキル若しくはC〜Cフルオロアルコキシ、F及びClで置換されているベンジル、特にフェニルである。

0062

第二級ホスフィン基は、好ましくは式:−PRに対応し、式中R及びRは、それぞれ独立して、1〜18個の炭素原子を有し、かつ、非置換であるか、又はC〜Cアルキル、トリフルオロメチル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメトキシ、(C〜Cアルキル)アミノ、(CSi、(C〜C12アルキル)Si、ハロゲン及び/若しくはヘテロ原子Oで置換されている炭化水素基である。

0063

及びRは、好ましくは、それぞれ、直鎖又は分岐鎖C〜Cアルキル、非置換シクロペンチル若しくはシクロヘキシル、又は1〜3個のC〜Cアルキル若しくはC〜Cアルコキシで置換されているシクロペンチル若しくはシクロヘキシル、フリル、非置換ベンジル又は1〜3個のC〜Cアルキル若しくはC〜Cアルコキシで置換されているベンジル、特に非置換フェニル、又は1〜3個のF、Cl、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cフルオロアルキル若しくはC〜Cフルオロアルコキシで置換されているフェニルの群から 選択される基である。

0064

より好ましくは、R及びRは、それぞれ、C〜Cアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フリル、並びに非置換フェニル又は1〜3個のF、Cl、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ及び/若しくはC〜Cフルオロアルキルで置換されているフェニルの群から選択される基である。

0065

−PR基のR及びRが異なる場合、第二級ホスフィン基のリン原子は、更なるキラル中心である。

0066

第二級ホスフィン基は、環状第二級ホスフィン、例えば下記式:

0067

化学式9

0068

で示されるものであることができ、
これらは、非置換であるか、又はC〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシ−C〜Cアルキル、フェニル、C〜Cアルキル−若しくはC〜Cアルコキシフェニル、ベンジル、C〜Cアルキル−若しくはC〜Cアルコキシベンジル、ベンジルオキシ、C〜Cアルキル−若しくはC〜Cアルコキシベンジルオキシ、又はC〜Cアルキリデンジオキシで一置換又は多置換されている。

0069

置換基は、キラル炭素原子を導入するために、リン原子に対して一方又は両方のα位に結合することができる。一方又は両方のα位の置換基は、好ましくは、C〜Cアルキル又はベンジル、例えばメチル、エチル、n−若しくはi−プロピル、ベンジル、又は−CH−O−C〜Cアルキル又は−CH−O−C〜C10アリールである。

0070

β,γ位の置換基は、例えば、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ベンジルオキシ、又は−O−CH−O−、−O−CH(C〜Cアルキル)−O−及び−O−C(C〜Cアルキル)−O−であることができる。幾つかの例は、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、−O−CH(メチル)−O−及び−O−C(メチル)−O−である。

0071

置換の種類及び置換基の数に応じて、環状ホスフィン基は、C−キラル、P−キラル、又はC−とP−キラルであることができる。

0072

脂肪族5員若しくは6員環又はベンゼンを、上記式の基における2個の隣接炭素原子に縮合することができる。

0073

環状第二級ホスフィノは、例えば、下記式(可能性のあるジアステレオマーのうちの1しか示されていない):

0074

化学式10

0075

〔式中、
R′及びR″基は、それぞれ、C〜Cアルキル、例えばメチル、エチル、n−若しくはi−プロピル、ベンジル、又は−CH−O−C〜Cアルキル若しくは−CH−O−C〜C10アリールであり、R′及びR″は、同一又は互いに異なっている〕
に対応することができる。

0076


気孔の定義は何ですか

式Iの化合物において、第二級ホスフィンは、好ましくは、−P(C〜Cアルキル)、−P(C〜Cシクロアルキル)、−P(C〜Cビシクロアルキル)、−P(o−フリル)、−P(C、−P〔2−(C〜Cアルキル)C、−P〔3−(C〜Cアルキル)C、−P〔4−(C〜Cアルキル)C、−P〔2−(C〜Cアルコキシ)C、−P〔3−(C〜C アルコキシ)C、−P〔4−(C〜Cアルコキシ)C、−P〔2−(トリフルオロメチル)C、−P〔3−(トリフルオロメチル)C、−P〔4−(トリフルオロメチル)C、−P〔3,5−ビス(トリフルオロメチル)C、−P〔3,5−ビス(C〜Cアルキル)、−P〔3,5−ビス(C〜Cアルコキシ)22及び−P〔3,5−ビス(C〜Cアルキ ル)−4−(C〜Cアルコキシ)Cの群から選択される非環式第二級ホスフィンであるか、又は下記:

0077

化学式11

0078

の群から選択される環状ホスフィンであり、
これらは、非置換であるか、又はC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルコキシ−C〜Cアルキル、フェニル、ベンジル、ベンジルオキシ若しくはC〜Cアルキリデンジオキシで一置換又は多置換されている。

0079

幾つかの特定の例は、−P(CH、−P(i−C、−P(n−C、−P(i−C、−P(t−C、−P(C)、−P(C11、−P(ノルボルニル)、−P(o−フリル)、−P(C、P〔2−(メチル)C、P〔3−(メチル)C、−P〔4−(メチル)C、−P〔2−(メトキシ)C、−P〔3−(メトキシ)C、−P〔4−(メトキシ)C、−P〔3−(トリフルオロメチル)C、−P〔4−(トリフルオロメチル)C、−P〔3,5−ビス(トリフルオロメチル)C、−P〔3,5−ビス(メチル)、−P〔3,5−ビス(メトキシ)及び−P〔3,5−ビス(メチル)−4−(メトキシ)C並びに下記式:

0080

化学式12

0081

〔式中、
R′は、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、メトキシメチル、エトキシメチル又はベンジルオキシメチルであり、そしてR″は、独立して、R′と同じ定義を有するが、R′と異なっている〕
で示されるものである。

0082

第二級ホスフィンが結合していることができるC〜C炭素鎖は、好ましくは、1〜3個、好ましくは1又は2個の炭素原子を有する、非置換又はC〜Cアルキル−、ベンジル−、フェニル−、シクロペンチル−若しくはシクロヘキシルで置換されたアルキレン基である。アルキレン基は、好ましくは、式:−CHR−に対応し、式中Rは、水素、C〜Cアルキル、シクロヘキシル又はフェニルである。

0083

Qが、キラリティーを有さないフェロセン主鎖である場合、Rは、少なくとも1個のキラル中心を必ず含有しなければならない。Qがキラリティーを有するフェロセン主鎖である場合、Rはキラルであることができる。

0084

が、炭化水素基又はヘテロ炭化水素基である場合、これらの基は、第二級ホスフィン基において又は−PR基のRにおいて上記で定義された置換基と同じ定義及び選択肢を有する。Rは、直鎖又は分岐鎖C〜C18アルキル;非置換又はC〜Cアルキル−若しくはC〜Cアルコキシ置換のC〜C12シクロアルキル又はC〜C12シクロアルキル−CH−;フェニル、ナフチル、フリル若しくはベンジル;又はハロゲン−、C〜Cアルキル−、トリフルオロメチル−、C〜Cアルコキシ−、トリフルオロメトキシ−、(CH< sub>5)Si−、(C〜C12アルキル)Si−若しくは第二級アミノ置換のフェニル、ナフチル、フリル若しくはベンジルの群から選択されることができる。Rは、好ましくはC〜Cアルキル、より好ましくはC〜Cアルキル、非置換シクロペンチル若しくはシクロヘキシル、又は1〜3個のC〜Cアルキル若しくはC〜Cアルコキシで置換されているシクロペンチル若しくはシクロヘキシル、非置換又は1〜3個のC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cフルオロアルキル若しくはC〜Cフルオロアルコキシ、F 及びClで置換されているベンジル及びフェニルであることができる。C〜Cアルキル基のうち、好ましいものは、α位で分岐しているものである。

0085

がフェロセニル基である場合、この基は、非置換であることができるか、又は一置換若しくは多置換されていることができるこの基は、好ましくは、結合Pに対してオルト位にある、同じシクロペンタジエニル環のオルト指向性基により置換されている。このオルト指向性基は、ビニル、メチル、エチル、金属化試薬の金属をオルト位へ向かわせるCに結合したキラル基又は−CH−NR1112基であることができる。

0086

このオルト指向性基は、好ましくは、例えば式:−HC1415は不斉原子を示す)のキラル基であり、式中、R14は、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル(シクロヘキシル)、C〜C10アリール(フェニル)、C〜C12アラルキル(ベンジル)又はC〜C12アルカリル(alkaryl)(メチルベンジル)であり、R15は、−OR16又は−NR1112であり、R16は、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、フェニル又はベンジルであり、そしてR11及びR12は、同一又 は異なっており、それぞれ、C〜Cアルキル、C〜Cシクロアルキル、フェニル又はベンジルであるか、或いはR11及びR12は、窒素原子と合わさって、5員〜8員環を形成する。R14は、好ましくはC〜Cアルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル及びフェニルである。R16は、好ましくはC〜Cアルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル及びn−又はi−ブチルである。R11及びR12は、好ましくは同一の基であり、それぞれ好ましくは、C〜Cアルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル及びn−又はi−ブチルであり、合わさって� �テトラメチレン、ペンタメチレン又は3−オキサ−1,5−ペンチレンである。式:−HCR1415の特に好ましい基は、1−メトキシエタ−1−イル、1−ジメチルアミノエタ−1−イル及び1−(ジメチルアミノ)−1−フェニルメチルである。

0087

本発明の化合物の好ましいサブグループは、式IIIa、VIIa、VIIIa、IXa及びXXa:

0088

化学式13

0089

〔式中、
式IIIaの3,3′及び/又は4,4′位は、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル又はトリメチルシリルで置換されていてもよく;
は、C〜Cアルキル、非置換シクロペンチル若しくはシクロヘキシル、又は1〜3個のC〜Cアルキル若しくはC〜Cアルコキシで置換されているシクロペンチル若しくはシクロヘキシル、又は非置換若しくは1〜3個のC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cフルオロアルキル若しくはC〜Cフルオロアルコキシ、F及びClで置換されているベンジル及びフェニルであり;
及びRは、それぞれ独立して、1〜18個の炭素原子を有し、かつ、非置換であるか、又はC〜Cアルキル、トリフルオロメチル、C〜Cアルコキシ、トリフルオロメトキシ、(C〜Cアルキル)アミノ、(CSi、(C〜C12アルキル)Si、ハロゲン及び/若しくはヘテロ原子Oで置換されている炭化水素基であり;
は、水素か、又は独立してRで定義されるとおりであり;
は、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cヒドロキシアルキル、C〜Cヒドロキシアルコキシ、C〜Cアルコキシ−C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ−C〜Cアルコキシ、トリフルオロメチル又はトリメチルシリルであるか、或いはR及びRは、合わさって、−CH=CH−CH=CH−、トリメチレン、テトラメチレン、−O−CH−O−、−O−CF−O−、−O−CH−CH−O−、−N(メチル)−CH−CH−O−であり;
の基は、合わさって、C〜Cアルキレン、−O−(C〜Cアルキレン)−O−又は−O−CF−O−であり;
は、C〜Cアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、メチルフェニル、メチルベンジル又はベンジルであり;
10は、−CH−NR1112、−CHR−NR1112、ビニル、メチル又はエチルであり;
11及びR12は、同一の基であり、R11及びR12は、それぞれ、C〜Cアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、メチルフェニル、メチルベンジル又はベンジルであるか、或いはR11及びR12は、合わさって、テトラメチレン又は3−オキサペンタン−1,5−ジイルであり;そして
13は、それぞれ、C〜Cアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、メチルフェニル、メチルベンジル又はベンジルである〕
で示されるものである。

0090

本発明の化合物のとりわけ好ましいサブグループは、式VIIaのものである。

0091

式Iの本発明の化合物は、ハロゲン化前駆体から、最初に、前駆体を例えばリチウムアルキルで金属化し、次に、金属化化合物をジハロホスフィン、ハロモノアルコキシホスフィン又はハロモノ(ジアルキルアミノ)ホスフィンと反応させ、最後の工程において、加水分解により−P(=O)HR基を形成する、簡単な方法によって得られる。反応は、高い収率及び選択性を伴って進行し、中間工程及び最終工程の反応生成物を、必要であれば、簡単な方法、例えば、再結晶化及び例えば固相としてシリカゲルを用いる非キラルカラムのクロマトグラフ精製により精製することができる。

0092

本発明は、更に、式Iの化合物を製造する方法であって、式X:

0093

化学式14

0094

〔式中、第二級ホスフィン及びQは、それぞれ上記で定義されたとおりであり、そしてHalは、Cl、Br又はIである〕で示される化合物を、金属化試薬と反応させ、その後、式XI:

0095

化学式15

0096

〔式中、
は、その選択肢を含んで式Iで定義されたとおりであり、
Halは、Cl、Br又はIであり;そして
は、Cl、Br、I、C〜Cアルコキシ又は(C〜Cアルキル)アミノである〕で示されるハロホスフィンと反応させて、
形成された式XII:

0097

化学式16

0098

で示される化合物を水で加水分解して、式Iの化合物を得ることを特徴とする方法を提供する。

0099

式Xの化合物は、既知であるか、又は既知若しくは類似の方法により製造することができる。式XIII:

0100

化学式17

0101

で示されるフェロセンは、置換基R10をオルト位に有するフェロセンをハロゲン化、例えば臭素化し、ハロゲンに対してオルト位にあるハロゲン化フェロセンをリチウム第二級アミン(Li−NR)と反応させることによりリチオ化し、次に、リチオ化フェロセンをハロホスフィンHal−PRと反応させる、M. SteurerらによりChem. Commun., 2005, 4929-4931に記載されている方法と同様にして製造することができる。R10がビニル、エチル又は−CH−NR1112である化合物は、R10基を、Cに結合したキラル基に変更して、それがハロゲン化後に金属化試薬の金属をオルト位に向かわせる、例えば、キラル補助基を除去してビニル基にし、続いて水素化してエチル基にすることなどによって製造される。−CH−NR1112基は、CHに結合したキラル補助基をHNR1112で置換することによって得られる。

0102

有機金属合成の方法条件は、既知であり、本明細書において詳細に記載されてはいない。詳細は実施例から把握することができる。

0103

式Iの本発明の化合物は、不斉合成における、例えばプロキラルな不飽和有機化合物の不斉水素化における、優れた触媒又は触媒前駆体である遷移金属の群から選択される金属錯体のためのリガンドである。プロキラルな不飽和有機化合物を使用する場合、有機化合物の合成において非常に高過剰な光学異性体を誘発することができ、短い反応時間内に高い化学変換度を達成することができる。達成可能なエナンチオ選択性及び触媒活性は、卓越している。更に、そのようなリガンドを、他の不斉付加又は結晶化反応においても使用することができる。

0104

本発明は、更に、元素周期表の遷移族の遷移金属と、リガンドとしての式Iの化合物との金属錯体を提供する。

0105

遷移金属のうち、金属は、より好ましくはFe、Co、Ni、Cu、Ag、Au、Ru、Rh、Pd、Os、Irの群から選択される。とりわけ好ましい金属は、Cu、Pd、Ru、Rh、Ir及びPtである。プロキラルな不飽和有機化合物の有機合成、並びに不斉水素化の例は、アミンカップリング、エナンチオ選択的開環及びヒドロシリル化である。

0106

特に好ましい金属は、ルテニウムロジウム及びイリジウムである。

0107

金属原子の酸化数及び配位数に応じて、金属錯体は更なるリガンド及び/又はアニオンを含有することができる。金属錯体は、カチオン性金属錯体であることもできる。そのような類似の金属錯体及びそれらの製造は、文献に多数記載されている。

0108

金属錯体は、例えば、一般式XIV及びXV:

0109

化学式18

0110

〔式中、Aは、式Iの化合物であり、
Lは、同一若しくは異なっている単座のアニオン性若しくは非イオン性リガンドであるか、又は2個のLは、同一若しくは異なっている二座のアニオン性若しくは非イオン性リガンドであり;
nは、Lが単座リガンドである場合、2、3若しくは4であるか、又はnは、Lが二座リガンドである場合、1若しくは2であり;
zは、1、2又は3であり;
Meは、Rh、Ir及びRuの群から選択される金属であり、ここで金属は0、1、2、3又は4の酸化状態を有し;
は、酸素酸又は錯体酸のアニオンであり;そして
アニオンリガンドは、酸化状態1、2、3又は4の金属の電荷を平衡にする〕
に対応することができる。

0111

式Iの化合物には、上記に記載された選択肢及び実施態様が当てはまる。

0112

単座非イオン性リガンドは、例えば、オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン)、アリル(アリル、2−メチルアリル)、溶媒和溶媒(ニトリル、直鎖又は環状エーテル、場合によりN−アルキル化されているアミド及びラクタム、アミン、ホスフィン、アルコール、カルボン酸エステル、スルホン酸エステル)、一酸化窒素及び一酸化炭素の群から選択されることができる。

0113


どのようにオスとメスのカエルは、お互いを見つけるのですか

単座アニオン性リガンドは、例えば、ハロゲン化物(F、Cl、Br、I)、擬ハロゲン化物(シアニド、シアネート、イソシアネート)、並びにカルボン酸、スルホン酸及びホスホン酸のアニオン(炭酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、メチルスルホン酸塩、トリフルオロメチルスルホン酸塩、フェニルスルホン酸塩、トシラート)の群から選択されることができる。

0114

二座非イオン性リガンドは、例えば、直鎖又は環状ジオレフィン(例えば、ヘキサジエン、シクロオクタジエン、ノルボルナジエン)、ジニトリル(マロノニトリル)、場合によりN−アルキル化されているカルボキサミド、ジアミン、ジホスフィン、ジオール、アセトニルアセトネート、カルボン酸エステル及びジスルホン酸エステルの群から選択されることができる。

0115

二座アニオン性リガンドは、例えば、ジカルボン酸、ジスルホン酸及びジホスホン酸(例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、メチレンジスルホン酸及びメチレンジホスホン酸)のアニオンの群から選択されることができる。

0116

また好ましい金属錯体は、Eが、−Cl、−Br、−I、ClO、CFSO、CHSO、HSO、(CFSO、(CFSO、テトラアリールボレート、例えばB(フェニル)、B〔ビス(3,5−トリフルオロメチル)フェニル〕、B〔ビス(3,5−ジメチル)フェニル〕、B(C及びB(4−メチルフェニル)、BF、PF、SbCl、AsF又はSbFであるものである。

0117

水素化に特に適しているとりわけ好ましい金属錯体は、式XVI及びXVII:

0118

化学式19

0119

〔式中、
は、式Iの化合物であり;
Meは、ロジウム又はイリジウムであり;
Yは、2個のオレフィン又は1個のジエンであり;
Zは、Cl、Br又はIであり;そして
は、酸素酸又は錯体酸のアニオンである〕
に対応する。

0120

式Iの化合物には、上記に記載された実施態様及び選択肢が当てはまる。

0121

Yがオレフィンとして定義される場合、C〜C12オレフィン、好ましくはC〜Cオレフィン、より好ましくはC〜Cオレフィンであることができる。例は、プロペン、ブタ−1−エン、特にエチレンである。ジエンは、5〜12個、好ましくは5〜8個の炭素原子を含有することができ、開鎖状、環状又は多環式ジエンであることができる。ジエンの2個のオレフィン基は、好ましくは、1又は2個のCH基により結合している。例は、1,3−ペンタジエン、シクロペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,4−又は1,5−ヘプタジエン、1,4−又は1,5−シクロヘプタジエン、1,4−又は1,5−オクタジエン、1,4� �又は1,5−シクロオクタジエン及びノルボルナジエンである。Yは、好ましくは2個のエチレンであるか、又は1,5−ヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン若しくはノルボルナジエンである。

0122

式XVIにおいて、Zは、好ましくはCl又はBrである。Eの例は、BF、ClO、CFSO、CHSO、HSO、B(フェニル)、B〔ビス(3,5−トリフルオロメチル)フェニル〕、PF、SbCl、AsF又はSbFである。

0123

本発明の金属錯体は、文献で既知の方法により製造される(US−A−5,371,256、US−A−5,446,844、US−A−5,583,241、並びにE. Jacobsen, A. Pfaltz, H. Yamamoto (Eds.), Comprehensive Asymmetric Catalysis I to III, Springer Verlag, Berlin, 1999及びこれらに引用されている参考文献も参照すること)。

0124

本発明の金属錯体は、反応条件下で活性化されうる均一触媒又は触媒前駆体であり、プロキラルな不飽和有機化合物の不斉付加反応に使用することができる;E. Jacobsen, A. Pfaltz, H. Yamamoto (Eds.), Comprehensive Asymmetric Catalysis I to III, Springer Verlag, Berlin, 1999 及び B. Cornils et al., Applied Homogeneous Catalysis with Organometallic Compounds, Volume 1 , Second Edition, Wiley VCH-Verlag, (2002)を参照すること。更なる適用は、例えば、離脱基、例えばハロゲン化物又はスルホン酸塩を含有する芳香族化合物又は複素環式芳香族化合物の、第一級又は二級アミンとパラジウム錯体よるアミノ化、或いは、好ましくは、オキサ二環式アルカンのRh触媒エナンチオ選択的開環反応(M. Lautens et al. Acc. Chem. Res. Volume 36 (203), pages 48-58)である。

0125

金属錯体を、例えば、炭素/炭素又は炭素/ヘテロ原子二重結合を有するプロキラルな化合物の不斉水素化(水素の付加)に使用することができる。可溶性均一金属錯体を用いるそのような水素化は、例えば、Pure and Appl. Chem., Vol. 68, No. 1, pages 131-138 (1996)に記載されている。水素化される好ましい不飽和化合物は、C=C、C=N及び/又はC=O基を含有する。水素化には、ルテニウム、ロジウム及びイリジウムの金属錯体を使用することが、本発明にとって好ましい。

0126

本発明は、更に、プロキラルな有機化合物における炭素又は炭素−ヘテロ原子二重結合に水素を不斉付加するキラル有機化合物の製造における、均一触媒としての本発明の金属錯体の使用を提供する。

0127

本発明の更なる態様は、触媒の存在下で、プロキラルな有機化合物における炭素又は炭素−ヘテロ原子二重結合に水素を不斉付加することにより、キラル有機化合物を製造する方法であり、これは、付加が、本発明の少なくとも1種の金属錯体の触媒量の存在下で実施されることを特徴とする。

0128

水素化される好ましいプロキラルな不飽和化合物は、1つ以上の同一又は異なっているC=C、C=N及び/又はC=O基を開鎖状又は環状有機化合物に含有することができ、ここで、C=C、C=N及び/又はC=O基は、環系又は環外基の一部であることができる。プロキラルな不飽和有機化合物は、アルケン、シクロアルケン、ヘテロシクロアルケン、また、開鎖状又は環状ケトン、α,β−ジケトン、α−又はβ−ケトカルボン酸、並びにこれらのα,β−ケトアセタール又は−ケタール、エステル及びアミド、ケチミン及びケチドラゾンであることができる。アルケン、シクロアルケン、ヘテロシクロアルケンはエナミドも含む。

0129

本発明の方法は、低又は高温、例えば、−20〜150℃、好ましくは−10〜100℃、より好ましくは10〜80℃の温度で実施することができる。光学収率は、一般に高い温度よりも比較的低い温度において良好である。

0130

本発明の方法は、標準圧又は高圧下で実施することができる。圧力は、例えば、10〜2×10Pa(パスカル)であることができる。水素化は、標準圧又は高圧下で実施することができる。

0131

触媒は、好ましくは、水素化される化合物に基づいて、0.00001〜10mol%、より好ましくは0.00001〜5mol%、特に好ましくは0.00001〜2mol%の量で使用される。

0132

リガンド及び触媒の製造、並びに水素化は、不活性溶媒なしで、又はその存在下で実施することができ、その場合は、1種の溶媒又は溶媒の混合物を使用することができる。適切な溶媒は、例えば、脂肪族、脂環式及び芳香族炭化水素(ペンタン、ヘキサン、石油エーテル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン)、脂肪族ハロ炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、ジ−及びテトラクロロエタン)、ニトリル(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル)、エーテル(ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキ� ��ン、ジエチレングリコールモノメチル又はモノエチルエーテル)、ケトン(アセトン、メチルイソブチルケトン)、カルボン酸エステル及びラクトン(酢酸エチル又は酢酸メチル、バレロラクトン)、N置換ラクタム(N−メチルピロリドン)、カルボキサミド(ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド)、非環式尿素(ジメチルイミダゾリン)、スルホキシド及びスルホン(ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホキシド、テトラメチレンスルホン)、場合によりフッ素化されているアルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、1,1,1−トリフ� �オロエタノール)、並びに水である。適切な溶媒は、また、低分子量カルボン酸、例えば酢酸である。

0133

反応は、共触媒、例えば第四級ハロゲン化アンモニウム(塩化、臭化若しくはヨウ化テトラブチルアンモニウム)、又はプロトン酸、例えばHClのような鉱酸、若しくはトリフルオロ酢酸のような強有機酸、又はそのようなハロゲン化物と酸の混合物の存在下で実施することができる(例えば、US−A−5,371,256、US−A−5,446,844及びUS−A−5,583,241、並びにEP−A−0691949を参照すること)。フッ素化アルコール、例えば1,1,1−トリフルオロエタノールの存在も、触媒反応を促進することができる。塩基、例えば、第三級アミン又はホスフィン、アルカリ金属水酸化物、第二級アミド、アルコキシド、炭酸塩及び炭酸水素塩も有益でありうる。共触媒の選択は、主に金属錯� ��中の金属及び基質によって導かれる。プロキラルなアリールケチミンの水素化において、テトラ−C〜Cアルキルアンモニウムヨージド及び鉱酸、好ましくはHIと組み合わせたイリジウム錯体の使用が有用であることが見出されている。

0134

触媒として使用される金属錯体を、別個に製造、単離した化合物として添加することができるか、そうでなければ、反応の前にその場で形成して、次に、水素化される基質と混合することができる。単離した金属錯体を使用して追加のリガンドを反応に加えること、又はその場で製造した過剰量のリガンドを使用することが、有益でありうる。過剰量は、製造に使用した金属化合物に基づいて、例えば1〜6mol、好ましくは1〜2molであることができる。

0135

本発明の方法は、触媒が最初に投与され、次に基質、場合により反応助剤、及び添加する化合物が加えられ、次に反応が開始されるような方法で大部分は実施される。添加される気体状の化合物、例えば水素は、好ましくは圧力下で注入される。本方法は、多様な種類の反応器により連続的又はバッチ的に実施することができる。

0136

本発明により製造可能なキラル有機化合物は、特に、芳香剤及び風味剤、医薬品及び農薬の調製分野における、そのような物質の製造のための活性物質又は中間体である。

0137

以下の実施例は本発明を説明する。全ての反応は、アルゴン下で空気を排除し、脱気溶媒を用いて実施される。

0138

A)リガンドの調製
実施例A1:リガンドL1の調製

0139

化学式20

0140

化合物1の合成は、文献:P. Barbaro et al., Tetrahedron Letter 44 (2003) 8279-8283に記載されている。

0141

ヘキサン中のn−ブチル−Li(n−Bu−Li)の1.6M溶液1.93ml(3.1mmol)を、ジエチルエーテル(DEE)10ml中の化合物1 1.42g(3mmol)の溶液に、−25℃でゆっくりと滴加した。−25℃で30分間撹拌した後、反応混合物を−78℃に冷却し、DEE 20ml中のジクロロ−t−ブチルホスフィン3.3mmolの溶液をゆっくりと加えた。−78℃で10分間撹拌した後、冷却浴を取り外し、混合物を一晩かけて室温に上昇させた。続いて反応混合物を脱気水30mlと混合し、DEEで抽出した。有機相を回収し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターにより減圧下で濃縮乾固した。粗生成物をクロマトグラフィー(シリカゲル60、溶離剤=酢酸エチル〔EA〕)により精製した。リガンドL1を、純粋なジアステレオマー及び黄色の固体として収率81%で得た。

0142

表1

0143

実施例A2:リガンドL2の調製

0144

化学式21

0145

手順は、ジクロロ−t−ブチルホスフィンの代わりにジクロロフェニルホスフィンを使用した以外は、実施例A1と同様であった。リガンドL2を、純粋なジアステレオマー及び黄色の固体として収率61%で得た。

0146

表2

0147

実施例A3:リガンドL3の調製

0148

化学式22

0149

化合物2の合成は、WO96/16971に記載されている。
a)化合物3の調製
シクロヘキサン中の1.3M第二級ブチル−Li(s−BuLi)溶液12.1ml(15.7mmol)を、氷冷及び撹拌しながら、tert−ブチルメチルエーテル(TBME)30ml中の化合物2(S,S′立体配置)5.0g(13mmol)に、反応混合物の温度が2℃を超えない速度で、ゆっくりと滴加した。反応混合物を0℃で1.5時間更に撹拌し、次に、ビス(3,5−ジメチル−4−メトキシフェニル)ホスフィンクロリド5.3g(15.7mmol)を、赤橙色の懸濁液に15分以内に滴加した。0℃で1時間更に撹拌した後、冷却器を取り外した。反応混合物が室温にゆっくりと温まるのを許し、更に1時間撹拌し、次に水10mlと混合した。混合物を、最初にEAにより、次にTBMEにより抽出した。有機相を合わせ、硫酸ナトリウ� ��で乾燥させ、溶媒をロータリーエバポレーターにより減圧下で完全に留去した。粗生成物をクロマトグラフィー(シリカゲル60、溶離剤=2%トリエチルアミンを用いる2:1ヘプタン/EA)により精製した。純粋な化合物3を、黄色の固体として収率67%で得た。

0150

表3

0151

b)リガンドL3の調製
シクロヘキサン中のs−BuLiの1.3M溶液2.4mlを、TBME 20ml中の化合物3 1.6g(2.5mmol)の溶液に、撹拌しながら−20℃で滴加し、続いて反応混合物をこの温度で更に1.5時間更に撹拌した。次に赤橙色の溶液を−78℃に冷却し、t−ブチルジクロロホスフィン0.8g(5mmol)の溶液をゆっくりと滴加した。混合物を−78℃で更に1時間撹拌し、次に冷却浴を取り外し、混合物を一晩かけて室温に温めた。反応混合物を水10mlと混合し、飽和NaHCO溶液で中和し、TBMEで抽出した。有機相を回収し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒をロータリーエバポレーターにより減圧下で完全に留去した。固体の橙色粗生成物(1.9g)をクロマトグラフィー(シリカゲル60、溶離剤=1%トリエチルアミンを用いる1:1ヘプタン/EA)により精製した。純粋な化合物L3を� ��黄色の固体として収率66%で得た。

0152

表4

0153

実施例A4:リガンドL4及びL5の調製

0154

化学式23

0155

a)化合物4の調製
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン12.9ml(75.9mmol、3.0当量)を無水テトラヒドロフラン(THF)100mlに溶解し、0℃に冷却した。n−Bu−Li溶液(ヘキサン中1.6m)45.8ml(73.4mmol、2.9当量)を滴加した。続いて、混合物を0℃で1時間撹拌した(溶液A)。
化合物1 8.50g(25.3mmol、1.0当量)を無水THF 70mlに溶解し、−70℃に冷却した(溶液B)。
溶液Aを、撹拌しながら30分間かけて溶液Bに滴加し、その間、温度が−30℃を超えないことを確実にした。次に混合物を更に1.5時間撹拌し、その間、温度を−35℃に保持した。その後、反応混合物を−78℃に冷却し、ジフェニルホスフィンクロリド6.1ml(32.9mmol、1.3当量)を加えた。温度を、撹拌しながら、1.5時間以内に−25℃にゆっくりと上昇させた。次に反応混合物を水100mlと混合した。混合物をTBMEで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターにより溶媒を取り除いた。得られた褐色の油状物をクロマトグラフィー(シリカゲル60,溶離剤=アセトン)により精製した。クロマトグラフィーに付した生成物を、事実上定量収率で得た。メタノー ルからの再結晶によって、化合物4を黄橙色の固体として収率73%で生じた。

0156

表5

0157


b)ジアステレオマーリガンドL4及びL5の調製
ヘキサン中のn−Bu−Liの1.6M溶液1.5mlを、TBME 20ml中の化合物4 1.0g(1.9mmol)の溶液に、撹拌しながら−0℃で滴加し、続いて反応混合物をこの温度で更に2時間更に撹拌した。次に赤橙色の溶液を−78℃に冷却し、t−ブチルジクロロホスフィン0.6g(3.8mmol)の溶液をゆっくりと滴加した。混合物を−78℃で更に1時間撹拌した。次に冷却浴を取り外し、温度を一晩かけて室温に上昇させた。反応混合物を水10mlと混合し、不飽和NaHCO溶液で中和し、TBMEで抽出した。有機相を回収し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒をロータリーエバポレーターにより減圧下で完全に留去した。得られた固体の橙色粗生成物(1.2g)は、ジアステレオマーを含有していた。これらをクロマトグラフィー(シリカゲル60、溶離剤=1%トリエチルアミンを用いる2� ��1ヘプタン/EA)により分離した。第1の画分からは、第1のジアステレオマーリガンドL4 266mg(黄色の固体、収率27%)を得て、第2のより大きな画分からは、第2のジアステレオマーL5 560mg(黄色の固体、収率55%)を得た。

0158

表6

0159

実施例A5:リガンドL6の調製

0160

化学式24

0161

a)化合物5の調製
化合物5の調製は、M. CereghettiらによりTetrahedron Letter 37 (1996) 5347-5350において記載されている。

0162

b)リガンドL6の調製
n−Bu−Li(ヘキサン中1.6M)0.75ml(1.2mmol)を、TBME 15ml中の化合物5 500mg(1mmol)の溶液に、撹拌しながら−78℃で滴加した。−78℃で1時間撹拌した後、t−ブチルジクロロホスフィン320mg(2mmol)を加えた。2時間後、冷却器を取り外し、温度を一晩かけて室温に上昇させた。反応混合物を水10mlと混合し、TBMEで抽出した。有機相を回収し、NaHCO水溶液、次にNaCl溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒をロータリーエバポレーターにより完全に留去した。粗生成物は、所望の生成物を2つのジアステレオマーの約5:2の比率の混合物として含有した(粗収率77%)。これらを、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル60、溶離剤=最初に1:2のEA/ヘプタン、次に1:1、最後にEAのみ)により分離することができた。大量に得られたジ アステレオマーをリガンドL6と呼び、これを、より少量のジアステレオマーが表れる前に溶離した(両方とも白色の固体であった)。

0163

表7

0164

実施例A6:リガンドL7の調製

0165

化学式25

0166

a)化合物6の調製
無水酢酸30ml中の化合物1 5.21g(15.5mmol)を、撹拌しながら135℃で4時間加熱した。冷却した後、混合物を水/トルエンで抽出した。有機相を回収し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒をロータリーエバポレーターにより減圧下(20torr)で完全に留去した。次に粗生成物をクロマトグラフィー(シリカゲル60、溶離剤=ヘプタン)により精製した。化合物6を赤褐色の油状物として収率80%で得た。

0167

表8

0168

b)化合物7の調製
THF 35ml中の化合物6 7.1g(24.4mmol)の溶液を、水素雰囲気(標準圧)において、触媒(5%Rh/C、Engelhard)0.7gの存在下で、水素が消費されなくなるまで激しく撹拌した。次に反応混合物を、アルゴン下に置き、触媒を濾取した。少量のTHFで洗浄した後、ロータリーエバポレーターにより濾液から溶媒を完全に取り除いた。化合物8を橙褐色の油状物として定量で得た。

0169

表9

0170

c)化合物8の調製
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1.74ml(10.2mmol、3.0当量)を無水THF 20mlに溶解し、0℃に冷却した。n−Bu−Li溶液(ヘキサン中1.6M)6.2ml(9.9mmol、2.9当量)を滴加した。続いて、混合物を0℃で1時間撹拌した(溶液A)。
化合物7 1.0g(3.41mmol、1.0当量)を無水THF 10mlに溶解し、−70℃に冷却した(溶液B)。
溶液Aを、30分間かけて溶液Bに滴加し、その間、温度が−30℃を超えないことを確実にした。次に混合物を4時間撹拌し、その間、温度を−40℃〜−30℃に保持した。反応混合物を−78℃に冷却し、ジフェニルホスフィンクロリド0.82ml(4.44mmol、1.3当量)を加えた。温度を、撹拌しながら、1.5時間以内に−25℃にゆっくりと上昇させた。次に反応混合物を水20mlと混合した。少量の飽和塩化アンモニウム溶液を加えた後、混合物をDEE及び塩化メチレンで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターにより溶媒を取り除いた。得られた褐色の油状物をクロマトグラフィー(シリカゲル60、溶離剤=最初に20:1のヘプタン−EA、次に10:1のヘプタン −EA)により精製した。化合物8を褐色の固体として収率62%で得た。

0171

表10

0172

d)リガンドL7の調製
ヘキサン中のn−Bu−Liの1.6M溶液0.31ml(0.50mmol)を、TBME 10ml中の化合物8 200mg(0.419mmol)の溶液に、−30℃でゆっくりと滴加した。−30℃で1時間撹拌した後、反応混合物を−78℃に冷却し、ジクロロフェニルホスフィン0.11ml(0.84mmol)をゆっくりと加えた。−78℃で20分間撹拌した後、冷却浴を取り外し、混合物が一晩かけて室温に温めることを許した。続いて反応混合物を脱気水10mlと混合し、pHを、飽和NaHCO水溶液で7〜8に調整し、次に混合物をEAで抽出した。有機相を回収し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ロータリーエバポレーターにより減圧下で濃縮乾固した。粗生成物をクロマトグラフィー(シリカゲル60、溶離剤=極性の増加:最初に1:3のEA/ヘプタン、次に1:1、最後に純粋なEA)により精製した。リガンドL7を、純粋な ジアステレオマーであり、黄色の固体として収率45%で得た。

0173

表11

0174

実施例A7及びA8:リガンドL8及びL9の調製

0175

化学式26

0176

化合物9(1−〔(ジメチルアミノ)エタ−1−イル〕−2−ブロモフェロセン)は、文献:J.W. Han et al., HeIv. Chim. Acta, 85 (2002) 3848-3854に記載されている通りに調製した。

0177

a)化合物10の調製
化合物9 10g(29.8mmol)及びジシクロヘキシルホスフィン7.22ml(35.7mmol)を、酢酸40ml中、85℃で15時間、次に100℃で5時間撹拌した。冷却した後、赤褐色の溶液を、水及びトルエン、次に飽和塩化ナトリウム溶液及びトルエンで抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒をロータリーエバポレーターにより留去した。短カラム(シリカゲル60 150g;溶離剤=酢酸エチル EA)を使用するクロマトグラフ精製の後、所望の赤褐色の生成物10を収率95%で得た。

0178

表12

0179

b)化合物L8の調製:
n−BuLi(ヘキサン中1.6M)4.3ml(6.77mmol)を、ジエチルエーテル30ml中の化合物10 3.01g(6.15mmol)の懸濁液に0℃で滴加した。得られた赤褐色の溶液を0℃で30分間更に撹拌してから−70℃に冷却した。次に、P,P−ジクロロフェニルホスフィン0.92ml(6.7mmol)を加えた。冷却器を取り外し、得られた明褐橙色の懸濁液を室温で2時間撹拌した。次に反応混合物を水20mlで加水分解し、次に水及び塩化メチレンで抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒をロータリーエバポレーターにより留去した。粗生成物をクロマトグラフィー(シリカゲル60;溶離剤=0.4%トリエチルアミンの存在下で1:1 EA/ヘプタン)により精製することができた。所望の生成物L8を堅い明褐色の固体として得た(収率40%)。

0180

表13

0181

c)化合物L9の調製:
n−BuLi(ヘキサン中1.6M)4.3ml(6.77mmol)を、ジエチルエーテル15ml中の化合物10 3.0g(6.13mmol)の懸濁液に0℃で滴加した。得られた赤褐色の溶液を0℃で30分間更に撹拌してから−70℃に冷却した。次にジエチルエーテル(DEE)5ml中のP,P−ジクロロ−tert−ブチルホスフィン1.07g(6.7mmol)の溶液を加えた。冷却器を取り外し、得られた濃密な橙赤色懸濁液を室温で2時間撹拌した。次に反応混合物を水20mlで加水分解し、続いて水、飽和塩化ナトリウム水溶液及び塩化メチレンで抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒をロータリーエバポレーターにより留去した。粗生成物をクロマトグラフィー(シリカゲル60、溶離剤=0.4%トリエチルアミンを用いるEA)により精製することができた。所望の生成物L9を固い黄橙褐色の固体として得た(収率64%)。

0182

表14

0183

実施例A9:リガンドL10の調製

0184

化学式27

0185

a)化合物11の調製
酢酸中のジ−tert−ブチルホスフィンの10%溶液23.8g中の化合物9 5g(14.9mmol)を105℃で7.5時間撹拌した。冷却した後、赤褐色の溶液を、水及びトルエン、次に飽和塩化ナトリウム溶液及び塩化メチレンで抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒をロータリーエバポレーターにより留去した。短カラム(シリカゲル60 150g;溶離剤=1%トリエチルアミンを用いるEA)を使用するクロマトグラフ精製の後、所望の赤褐色の生成物11を収率70%で得た。

0186

表15

0187

b)化合物L10の調製:
n−BuLi(ヘキサン中1.6M)3.2ml(5.11mmol)を、ジエチルエーテル(DEE)20ml中の化合物11 2.03g(4.64mmol)の溶液に0℃で滴加した。得られた赤橙色の懸濁液を0℃で1.5時間更に撹拌してから−70℃に冷却した。次にDEE 5ml中のP,P−ジクロロ−tert−ブチルホスフィン0.81g(6.7mmol)の溶液を加えた。冷却器を取り外し、得られた橙色の懸濁液を室温で2時間撹拌した。次に反応混合物を、水20mlの添加により加水分解し、続いて0.05N NaOH及び塩化メチレンで抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒をロータリーエバポレーターにより留去した。粗生成物をクロマトグラフィー(シリカゲル60、溶離剤=0.4%トリエチルアミンを用いるEA)により精製することができた。所望の生成物L10を黄橙色のほぼ固体の油状物として得た(収率85%)。

0188

表16

0189

実施例A10:リガンドL11の調製

0190

化学式28

0191

a)式13の1−ジシクロヘキシルホスフィノ−1′−ブロモフェロセンの調製:
n−BuLi(ヘキサン中2.5M)120ml(0.3mol)を、THF 300ml中の1,1′−ジブロモフェロセン103g(0.3mol)の溶液に<−30℃の温度で滴加した。混合物をこの温度で1.5時間更に撹拌した。次に混合物を−50℃に冷却し、ジシクロヘキシルホスフィンクロリド66.2ml(0.3mol)を、温度が−45℃を超えない速度で滴加した。更に10分間撹拌した後、温度を室温に上昇させて、混合物を更に1時間撹拌した。水150mlを加えた後、反応混合物を振とうしながらヘキサンで抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒をロータリーエバポレーターにより減圧下で留去した。残渣をエタノール中で結晶化させた。生成物13を収率84%(黄色の固体)で得た。

0192

表17

0193

b)化合物16(反応溶液1)の調製:
s−BuLi(シクロヘキサノン中1.3M)4.0ml(5.2mmol)を、TBME 5ml中の化合物15 1.29g(5mmol)の溶液に、撹拌しながら−78℃で滴加した。次に温度を室温に上昇させ、混合物を1.5時間更に撹拌した。次に、得られた懸濁液を、TBME 10ml中のPCl 0.44ml(5mmol)の溶液を−78℃で撹拌した第2容器の中に、カニューレを介して、高圧(アルゴン)で注入した。添加の後、温度を0℃に上昇させて、得られた懸濁液を更に1.5時間更に撹拌した。THF 10mlの添加の後、化合物16を含む反応溶液1を得た。

0194

c)化合物L11の調製:
n−BuLi(ヘキサン中1.6M)3.25ml(5.2mmol)を、TBME 10ml中の化合物13 2.31g(5mmol)の溶液に、撹拌しながら−78℃で滴加した。次に温度を0℃に上昇させ、40分間更に撹拌した。リチオ化化合物14を含む赤色反応溶液を得た。これを、化合物16を含む反応溶液1に、撹拌しながら0℃で滴加した。添加が完了すると、冷却器を取り外し、得られた懸濁液を一晩撹拌した。反応混合物を、水50ml及び飽和重炭酸ナトリウム水溶液20mlで加水分解し、塩化メチレンで抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒をロータリーエバポレーターにより留去した。クロマトグラフ精製(シリカゲル60;溶離剤=2:1〜1:2のTHF/メタノール)に付した後、所望の生成物L11を橙色の固体として得た。

0195

表18

0196

B)金属錯体の調製
実施例B1:Ir錯体の調製(COD=シクロオクタジエン)
メタノール2ml中のリガンドL1 50.2mg(0.1mmol)の溶液を、メタノール2ml中の〔Ir(COD)〕BAr 127.2mg(0.1mmol)の溶液に加え、反応混合物を30分間撹拌した。メタノールを減圧下で除去し、褐赤色の残渣をペンタンで洗浄した。

0197

表19

0198

実施例B2:Ru錯体の調製
メタノール2ml中のリガンドL1 50.2mg(0.1mmol)の溶液を、メタノール2ml中の〔RuCl(p−メチルクメン)〕 30.6mg(0.05mmol)の溶液に加え、反応混合物を30分間撹拌した。メタノールを減圧下で除去し、残渣をペンタンで洗浄した。

0199

表20

0200

実施例B3:Rh錯体の調製
メタノール2ml中のリガンドL1 50.2mg(0.1mmol)の溶液を、メタノール2ml中の〔Rh(COD)〕BAr 30.6mg(0.05mmol)の溶液に加え、反応混合物を30分間撹拌した。メタノールを減圧下で除去し、残渣をペンタンで洗浄した。

0201

表21

0202

C)使用実施例
全ての操作は、アルゴン下及び脱気溶媒で実施した。
実施例C1:
〔Rh(ノルボルナジエン)〕BF 4.73mg(0.0127mmol)及びリガンドL1 6.67mg(0.0133mmol)(リガンドと金属の比率=1.05)を、メタノール2ml中で10分間撹拌した。メタノール4ml中のイタコン酸ジメチル(DMI)400mg(2.5mmol)の溶液を、次に基質濃度が0.25Mとなるのに充分なメタノール(4ml)を、この溶液に加えた。アルゴンを真空により抜き取り、容器を水素供給源(1bar)と連結した。撹拌機のスイッチを入れて、水素化を開始した。1時間後、撹拌機のスイッチを切り、溶液を再びアルゴン下に置いた。変換及び鏡像体過剰率(ee)は、キラルカラム(Lipodex E)の助けを借りて、ガスクロマトグラフィーにより決定し、変換及びeeは87%であった。

0203

実施例C2〜C32:
下記の表1にまとめた更なる基質の水素化を同様の方法で実施した。より高い水素圧を用いる水素化を、スチールオートクレーブ内で実施した。これらでは、反応溶液を、アルゴン向流下、カニューレを介して、アルゴンパージオートクレーブの中に注入した。

0204

結果を下記の表2に報告する。表1の略語は、ee=鏡像体過剰率、GC=ガスクロマトグラフィー、TMS=トリメチルシリル、HPLC=高速液体クロマトグラフィーを意味する。

0205


表22

0206


添加:1)1N HCl(溶媒容量に基づいて1.2%);2)2当量のテトラブチルアンモニウムヨージド/Ir及びCFCOOH(溶媒容量に基づいて0.6%);3)1N HCl(溶媒容量に基づいて0.6%);4)12当量の1,4−ジアゾビシクロ〔2.2.2〕オクタン/Ir:5)4当量の1,4−ジアゾビシクロ〔2.2.2〕オクタン/Ir。

表23

0207

表中:
〔S〕は、モル基質濃度を意味し;S/Cは、基質/触媒比を意味し;tは、水素化時間を意味し;Lig.はリガンドを意味し、Sol.は、溶媒を意味し(MeOH=メタノール;EtOH=エタノール;Tol=トルエン;THF=テトラヒドロフラン;DCE=1,2−ジクロロエタン);金属は、水素化に使用される金属前駆体を意味し:Rha)=〔Rh(ノルボルナジエン)〕BF;Rhb)=〔Rh(シクロオクタジエン)Cl〕;Rhc)=〔Rh(ノルボルナジエン)トリフレート〕;Ird)=〔Ir(シクロオクタジエン)Cl〕;Rue)=〔Rul(p−メチルクメン)〕;Ruf)= 〔RuCl(p−メチルクメン)〕;Lig.=リガンド、C=変換:Conf.=立体配置である。



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